ウンム・カイス
ヨルダンの北端、四方に大地が落ち込む高い尾根の上に、古代ガダラの遺跡が立っています。黒い玄武岩の円柱、劇場、古い石造りの家々が、この国で最も広大で美しい眺めのひとつを見渡しています。歴史と風景が見事な調和を見せる場所です。
ウンム・カイスは古代にはガダラと呼ばれ、ヘレニズム時代とローマ時代に栄えたデカポリスの都市でした。メニッポス、メレアグロス、フィロデモスといった詩人や哲学者を輩出した、学問と文化の中心地として名を馳せました。福音書にはイエスの奇跡に関連して「ガダラ人の地」が登場し、のちには初期キリスト教の共同体がここに教会を建てました。何世紀もの間に都市は衰退しましたが、その石は尾根の上に残り続けました。
遺跡の多くが淡い石灰岩とともに黒っぽい玄武岩で築かれているため、ここには独特の趣があります。黒い玄武岩でできた西劇場には、かつて約3000人の観客が座ることができ、今も見事な眺望が楽しめます。近くには列柱通り、バシリカのあるテラス、浴場、商店、墓の遺構があり、にぎやかなローマ都市の区画がうかがえます。古代都市の一部の上にはオスマン時代の石造りの家々の村が建ち、歴史にもうひとつの層を加えています。

そうした家のひとつ、ベイト・ルーサンは現在、遺跡博物館になっています。収蔵品にはモザイク、硬貨、彫刻などがあり、遺跡で発見された優美な大理石の女神坐像もそのひとつです。修復された古い村の中庭やアーチの間を歩くと、オスマン帝国末期の農村の暮らしが感じられ、家々の周りのテラスは木陰で休むのにぴったりの穏やかな場所です。
ウンム・カイスの最大の魅力は、その眺めです。北西には、ティベリアス湖とも呼ばれるガリラヤ湖が遠くに輝きます。北にはヤルムーク川の深い渓谷の向こうに緑の丘が連なり、西と南には広々としたヨルダン渓谷が開けています。特に美しいのは夕方近くの光で、湖が陽光を受けてきらめき、丘は柔らかな黄金色に染まります。
見どころ
- 1ガリラヤ湖とヨルダン渓谷を見渡すパノラマ
- 2黒い玄武岩の西劇場
- 3列柱通りとバシリカのテラス
- 4ベイト・ルーサンと遺跡博物館
- 5修復されたオスマン時代の村
- 6ヤルムーク渓谷を照らす夕方の光
ギャラリー

よくある質問
アンマンからウンム・カイスへの行き方は?
ウンム・カイスはアンマンの北約110キロメートルにあり、イルビド経由で車でおよそ2時間です。車がない場合は、アンマンからイルビドまでバスかミニバスで行き、そこから地元のミニバスでウンム・カイスへ向かえますが、時間はより長くかかります。多くの旅行者は、ジェラシュと組み合わせた日帰り旅行や、ドライバーを雇って訪れます。
ウンム・カイスでは何が見られますか?
遺跡には、黒い玄武岩で造られた劇場、列柱の並ぶ大通り、かつて教会が立っていた玄武岩の円柱が残るテラス、浴場、墓などがあります。ローマ時代の遺跡の隣には石造りの家々が並ぶオスマン帝国時代の村があり、そのうちの一軒は小さな博物館になっています。ティベリアス湖(ガリラヤ湖)とヤルムーク渓谷を見渡す眺めは、ここの大きな見どころです。
ウンム・カイスにはどのくらい時間が必要ですか?
主な遺跡を巡り、博物館を見学し、眺めを楽しむなら2〜3時間で十分です。谷を見下ろしながら食事をしたり、周辺の田園地帯を散策したりしたい場合は、もっと時間をとりましょう。ウンム・カイスはジェラシュやアジュルンと組み合わせて、北部を丸1日かけて巡ることがよくあります。
ウンム・カイスを訪れるベストシーズンは?
丘が緑に染まり、野の花に覆われる春が最も美しい季節です。一日のうちでは、光が柔らかく、夕日が湖と谷を照らす夕方遅くがベストタイムです。雨上がりの晴れた冬の日もすばらしい眺めが楽しめますが、尾根は風が強く冷えることがあるので、上着を持っていきましょう。
ガダラの歴史を教えてください。
ガダラはギリシャ・ローマ時代の都市で、デカポリスの都市のひとつでした。古代には学問の中心地として名高く、詩人や哲学者が暮らしていました。福音書には、イエスが悪霊に取りつかれた男を癒やす物語の中で、ガダラ人の地が登場します。この都市はビザンツ時代から初期イスラム時代まで存続し、その後衰退しました。
ウンム・カイスは子ども連れでも楽しめますか?
はい。開けた遺跡、劇場、古い村は、子どもたちにとって探検しがいのある場所です。劇場の急な座席、凹凸のある石、展望地の段差の近くでは、しっかりと目を配りましょう。日陰がほとんどないので帽子と水を、涼しい日には上着を持っていきましょう。
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